「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
通路は、まもなく始まる会議のため、報道陣などで、ごった返している。その中を、ややうつむき加減に考え事をしながら歩いている様子である。
「事務総長」・・・
李は、かなり深く考え込んでいるのか、呼ばれているのに気がつかない。
もう一度
「事務総長」
と呼ばれて李は、はっとして気がつき顔をあげた。
李の目の前には、アメリカ合衆国全権であるジェラルディーンが、こちらをのぞき見るようにして声を掛けている姿があった。
その顔は少し不安そうな表情をしているように見えた。
ジェラルディーンは四日前に今日の会議の招集を提案し、火星入植地への調査を要請したものの、その結果報告に一抹の不安を感じていた。
結果を個人的に聞くことは許されない。会議において報告を受け全体で討議する問題である。
しかしジェラルディーンは言った。
「おはようございます事務総長。結果は問題なかったでしょうか」
当然、李は答えられない。
李は
「会議場で」
とだけ返答し、ジェラルディーンの横を、すり抜けて行った。
いくら安全保障会議の中心メンバーであろうとも、今日の会議は地球の命運を左右すると感じていた李は、挨拶の言葉さえ無く、ただ
「会議場で」
の一言だけであった。
ジェラルディーンは李を追い越し、急いで会議場へ向かった。
「事務総長」・・・
李は、かなり深く考え込んでいるのか、呼ばれているのに気がつかない。
もう一度
「事務総長」
と呼ばれて李は、はっとして気がつき顔をあげた。
李の目の前には、アメリカ合衆国全権であるジェラルディーンが、こちらをのぞき見るようにして声を掛けている姿があった。
その顔は少し不安そうな表情をしているように見えた。
ジェラルディーンは四日前に今日の会議の招集を提案し、火星入植地への調査を要請したものの、その結果報告に一抹の不安を感じていた。
結果を個人的に聞くことは許されない。会議において報告を受け全体で討議する問題である。
しかしジェラルディーンは言った。
「おはようございます事務総長。結果は問題なかったでしょうか」
当然、李は答えられない。
李は
「会議場で」
とだけ返答し、ジェラルディーンの横を、すり抜けて行った。
いくら安全保障会議の中心メンバーであろうとも、今日の会議は地球の命運を左右すると感じていた李は、挨拶の言葉さえ無く、ただ
「会議場で」
の一言だけであった。
ジェラルディーンは李を追い越し、急いで会議場へ向かった。