「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
午前十時十五分前
李は会議場に入り、中を見渡して驚いた。

いつもは五分前くらいに入場してくる者もいるのに、すでにメンバー全員が着席し音声ヘッドホーンも装着している。

本日の会議が、いかに重要であるのかを、全メンバーが認識していることを李は肌で感じた。

十時開始予定の時間前ではあるが、李は進み出て経過説明を述べることとした。

「お集まりの各国全権のみなさま、開始時刻よりも少々早くはありますが、すでに全代表お揃いの様子で、ありますので、ただいまより開催いたします」

「まず冥王星調査隊に始まり、その後、海王星調査隊、そして天王星、タイタン、エウロパ調査隊とエウロパ・ステーションに起こった異変についてでありますが、今、現在においても消息が途絶えたままで、調査船の船体も発見されておりません。原因については不明のままであり、原因調査を継続中であります」

「その調査の過程で天文観測衛星、ならびに月の宇宙ステーションや地球上空の宇宙ステーションにより、火星に近づきつつある微小天体が発見されました。その発見された微小天体が、それまでの異変に何らかの影響を及ぼしている可能性があり、四日前の全体会議においてアメリカ合衆国全権ジェラルディーン氏より、至急、火星入植地へ観測調査を依頼する旨、提案がありました」
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