「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
「冥王星、海王星、天王星への調査隊派遣は人類史上初めてのミッションでは、ありましたが、これまでにタイタンやエウロパ調査隊を始め、ガニメデ、イオ、小惑星帯など数多くの調査隊を派遣しております。しかし今回の事態は過去において未だに発生したことのない異常事態であり、速やかに全会一致で提案を受け入れ、本日の会議において、その結果を討議することとなっております」

とここまで話をして李は、先ほど入場してきたドアに目をやった。
連絡員からの、その後の情報を待っているのだ。

会議場へ来る前、通信本部に立ち寄り通信員と話したのだが、新しい情報は未だに入っていないらしく、本部の人たちも、かなり焦っている様子で、とにかく情報が入り次第、会議場まで届けてくれることになっている。

小惑星群だと思われる微小天体の今後の軌道予測も、現在、観測を継続中で、まだ先になりそうである。

ただ科学者の話によれば、今までの軌道は、ほとんど判明しておらず、少なくとも小惑星群が、これまでの異常事態に、すべて関与しているとすればジグザグに進行方向を変化させながら飛翔してこない限り不可能である。

しかし、そんな事は自然の小惑星群だとすれば、とても考えられる話ではない。

五隻の調査船とステーションに次々と異変が起こったが、それらの調査船やステーションの進行方向や位置、速度、タイムラグなどを考慮しても直線上の空間には存在しない。

ということは、小惑星群に一度や二度、何らかの原因で軌道変更があったとしても、それらのすべてに異変を起こすことは不可能であり、ジグザグに進んで来たと考える他にない。
しかし、自然では、とても起こりえない、ということであった。
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