「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
その李の様子を見ていた補佐官も、李の見ている後方を振り返って見て

「何か気になることでも、あるのでしょうか」
と訊ねて来たが、李は

「いいや・・・何も」
と答えると

「急ごう」
と補佐官に声を掛けると、小走りで本部ビルに向かった。

定刻よりも数分遅れて、李は会議室に入り着席した。

李の座っている右手には補佐官や通信員が座り、左手には科学者や天文学者が並んで座っている。

最初に李が
「みなさん、遅れて申し訳ない。ただいまより始めます」

「まず火星の状況から報告を、お願いします」

と言うと、補佐官が火星の状況説明を開始した。

「それでは火星の現在の状況を、ご説明致します。通信の状況は現在、良好な状態を保っておりまして、昨日、判明した通信不能地域の広がりは、小惑星群の通過した半球で、ほぼ間違いない状況であります。ただし原因は未だに不明であります」

「昨日、通信可能な入植地より不可能な地域へ人を派遣して調査するように依頼しましたが、その後、多くの情報が寄せられております。それによると通信不能地域の入植地の人々は命には別状なく全員生存しているとのことであります」

「しかしながら通信装置を始めコンピューターや生命維持装置など、すべての機器が機能不全となっており、全員で復旧作業を行なっているそうでありますが現在においても復旧の見込みはたっていないらしく、なぜすべての機器が機能不全に陥ったのか原因も判明しないとのことであります」
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