「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
「そういうことで通信不能地域の入植地の状況も次第に判明してきておりますが、通信可能入植地に近い場所に存在する地域からの様子は判明してきているものの、遠い地域については未だに、捜索隊が到着していない入植地もあり詳細は不明であります。遠い地域の最も到着の遅くなる入植地までは、あと一両日は必要だそうで・・・」

ここで突然、李が手を挙げて話を遮り

「復旧作業は現在も継続中なのか」
と確認した。

「そのようであります」
と補佐官が答えるのを聞き

「ドームの酸素はどのくらい持つのか」
と問うと補佐官は

「各入植地の規模や人口、それから生命維持装置の能力により開きがありますが、短い所だと四、五日くらい、長い所だと、その倍くらいの日数は大丈夫だと思われます」
と返答した。

火星入植地は、すべて巨大なドームの中に建設されているのである。

李は、少しの間、考えると

「そうなると早い所では、あと数日しか残された時間が無いということになる。すぐにでも避難命令を出さなければ手遅れになりはしまいか。ここに出席している諸君は、どう思われますか」
と全員に問うた。

科学者も補佐官も確かに避難を優先するべきであり、復旧作業に必要な最小人員のみを残し、避難を急がねばならない。

復旧作業が不可能な場合に、ただちに退避できる人数のみを残して、それ以外の全員を収容可能な入植地へ移動するべきであると結論が出た。
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