「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
急ぎ補佐官が緊急避難命令の指令を送る為に通信本部へ走り、科学者たちは通常通り生活可能な入植地に、どのくらいの避難民を受け入れることが可能か、それぞれの入植地毎に計算を始めた。

そして計算結果が出た所から順に通信本部に伝え、火星へ指示を送った。

各自が、それぞれ忙しく作業をしている最中ではあったが、その間にも李は最初の説明を行なっていた補佐官から、それ以外の情報を伝えてもらった。

それによると宇宙船の発着が可能な火星基地は五ヶ所あるのであるが、今、連絡が可能なのは三ヶ所だけで、それ以外の基地は連絡が取れず機能不全であろうということである。

使用可能な基地が三ヶ所しかしかないのでは宇宙船の発着回数を減らさなければいけない。

そこで火星へ向かっている連絡船のうち地球へ帰還するには積載食料の量などから不可能な一隻を除いて帰還命令を出し、地球を発進して間もない順に二隻の貨物船にも地球への帰還命令を出しているということである。

それはそれで良いのだが、火星に近づきつつある船は次々と火星に到着する訳であり、はたして全部の到着船をさばききれるのであろうか。

この疑問に補佐官は、連絡船を優先して着陸させた後、貨物船は到着順に着陸できるまでは火星上空で待機させることになると言った。

とりあえず納得した李は次に、「ただの小惑星群のようである」と最初に送られてきた火星からの通信にコードナンバーが無かったのは何故か尋ねると

「それは小惑星群が火星に最も近づき小惑星群で間違いないであろうと確認されてから地球へ発信した入植地が、ほぼ同時刻に複数あり、発信を開始したところが突然に全機能が停止してしまったようであります」

「それでコードナンバーの入力を終える前に通信が途切れてしまったということが真相でありまして、その途切れた時間が火星半球の機能が停止した時間ということになります」
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