「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
しかし、もうひとつ、収容人数が溢れてしまって収容可能な入植地に収容しきれない問題が残ってしまう。

どうすればよいのか・・・

そこで李は補佐官に問うた。

「三ヶ所残っている使用可能な基地を利用できないだろうか。基地は入植地と違い生活している人数が少ない上に中は広い、かなりの人数が収容できるだろう」

しかし、補佐官は、困った表情を浮かべて

「しかし、宇宙船の発着や貨物船の積荷の積み下ろしに影響が出ます・・・というか不可能になります。十日後には貨物船が、二十五日後には連絡船も一隻到着しますし・・・」
と言葉に詰まる。

隣の席で、それまで、じっと聞いていた首席補佐官が

「思い切って、二十五日後に、火星に到着予定の連絡船を地球へ引き返させますか。同時に地球から連絡船救援用に食料など救援物資を積み込んだ宇宙船を発射して、途中で救援物資を帰還中の連絡船へ移し換えますか」

と言うので、李が、それは可能なのかと訊くと

「連絡船の脱出用の非常ハッチから運び込めるでしょう。ただし宇宙空間での危険な作業となるので、熟練の宇宙飛行士が必要です。それとスピードの出る宇宙船を用意しないと救援物資の到着が間に合わなくなる恐れがあります。宜しければ早速にでも選抜したいと思いますが、いかがでしょうか」

李は、連絡船は、それでよいとしても貨物船は、どうするのか訊ねた。
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