「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
「小惑星群は火星に、かなり近い位置を通過致しました。それ以前の軌道はエウロパ調査船から報告のあった地点と火星を結ぶ線上だと考えられます。そしてそれ以前の軌道となると、はっきりとは分かりませんが、常識的にはエウロパ調査船と火星の延長線上であろうと思っております」

「その延長線上に天王星、海王星、冥王星の各調査隊の宇宙船は存在したかというと、存在しておりません。よって三隻の宇宙船の遭難は別の原因があるのでしょうか」

「別の原因の存在を否定はできませんが、ただ海王星調査船が小惑星らしき物体を発見しており今回の小惑星群と同一の物体だったのかも知れません。なぜなら現在、発見されている小惑星群以外には小惑星の発見が無いからであります」

「結局のところ、エウロパ調査船より以前の軌道は不明であります」

「次に今後の軌道でありますが、小惑星群は火星付近で方向を変化させ、地球へ向かってきております。どうして変化したのかは、よく分かっておりません。火星の重力の影響で方向が地球へ向かうということは、計算上は考えられないのです」

ここまで話したところで、テーブルに置かれているコップの水に口をつけた後、続けて

「その上、不思議なことに観測結果によると火星付近で速度が落ち、その後、地球へ方向を変化させてからは、加速して速度を上げているのであります。そして現在も加速は続いております」

「自然の小惑星や彗星が極端に速度が速くなったり、遅くなったりすることは考えられず、火星の重力の影響とも考えられておりません。これもまた、なぜなのか不明であります」
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