「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
「とにかく速度が変化するので一概には申せませんが、現在のまま進んでくると三週間以内に地球に相当接近してきますし、引き続き加速している現況から考えますと、もっと早く接近する可能性が高いと考えます。あと数日間、観測すれば地球付近へ到達する、およその日時が、今よりは正確に判明するものと思われます」

「本来であれば今までの観測結果から、この場で、およその地球付近への到達日時を報告できると考えておりましたが、なにぶん速度が変化したもので観測の継続と再計算が必要となりました」

「以上が現在、報告できる、すべてであり、数日後には、もっと詳細に、お伝えできるものと思います」

科学者の報告が終了したのを受けて、日本全権の笹田博之が火星の状況について、幾つかの質問を行い、それについての返答を補佐官より受けた後、続けて小惑星群についての質問を行なう。

「小惑星群の軌道についての報告は了承しましたが、果たして危険性はどうなのか。昨日イギリス全権がおっしゃられたように小惑星群は危険であり、早急に破壊の検討を必要とするものなのか。それとも、もう少しの間、観測を続け、様子を見ていても心配ないものなのか」

「我が国は破壊の検討は、慎重に判断するべきだと考えておりましたが、先ほどの火星の状況説明を拝聴し、多大なる被害であり困難な復旧作業を強いられている現状を鑑みてみますに、破壊の検討を行なう考え方に転換致したく存じます。実際に小惑星群の危険性が、どの程度の認識であるのか見解をお聞かせ願いたい」

との発言に、先ほど報告を行なった科学者が答えて
< 78 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop