「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
「小惑星群が火星を通過した後、なぜ、このように多大な被害が発生したのか未だに原因不明でありますが、少なくとも結果から判断すると、このまま地球に近づくと、かなりな危険性があると考えられます。予想では地球に相当接近すると思われますし、然るべき手だてを皆さんでお考え頂き、実行されることを期待しております」

この言葉により、それまでの慎重派の国々も一気に破壊の検討をすることに同意し、イギリス全権が提案書を提出して満場一致で採決された。

その後、笹田全権が破壊には危険を伴う事もあるであろうから、小惑星群の進行方向を地球から外れるように対処する方法も検討するべきではないかと意見を述べ、満場一致でイギリスの提案書に追加された。

具体的な検討作業は科学者や補佐官、軍の作戦担当将校たちにより幾つかの方法を考え出し、五日後に、考え出された案を持ち寄り安全保障会議において話し合われることになった。

ただし科学者から、今後の小惑星群の軌道がどうなるかの、はっきりとした観測結果を報告してもらう為に、三日後の午後二時に会議場に集まることとし、また、その時に追加の意見があれば協議するということで本日の会議は終了した。

会議の後、李はその後の状況を確認しようと通信本部にゆき、作業が順調に進んでいるのを確認した。

しかし現場は大変な忙しさであり、科学者も通信員も補佐官も目まぐるしく作業を行なっている。

李は真に、ご苦労を掛けるが、人々の為に、今しばらくの努力とがんばりを、現場の全員に、お願いして通信本部を後にした。

李は夕暮れの中、ビルから外に出て、今朝、座っていたベンチの所まで来て腰掛けると、周りを見回した。
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