「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
すると、おじさんは

「この橋は沈下橋と言って洪水になっても流されないように造られた橋で、水が溢れても、水の抵抗を受けないように欄干が無いのじゃ」
と教えてくれ

「昔は吉野川にも、たくさんあったらしいが、現在は残り少なくなって、もうあまり残ってないので、一度渡ると記念になりますよ」
と言った。

自転車に乗り、去ってゆく、おじさんの背中を見ていて、由紀は誰かに聞いたか、テレビで見たか、沈下橋があるというのは知っていたのだが、これが、その沈下橋だったのかと思った。

ただ、この吉野川だったかなぁ・・・と思い出していた。

すると理絵が
「そういえば、お兄ちゃんが、高知の一ヶ国巡りから帰ってきた時に、沈下橋を渡ったって話していたよ」

「なんて川だったかなぁ・・・」

「確か・・・四万十川・・・そう四万十川って言ってなかったっけ」

そうだ四万十川だ。直が話していたのを由紀も思い出した。

二人は、沈下橋は四万十川だけではなく吉野川にもあるのだと初めて知った。

橋を渡り終えた所で時計を見ると十一時過ぎになっている。

予定では、今日はがんばって十二番焼山寺まで行くつもりであったのだが、現在位置で、この時間では無理である。
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