「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
由紀は明日、この道を上っていく自信が無くなりかけてきた。
「理絵、明日、この道、お母さんに上れるかなぁ」
理絵も、かなり、きつそうな道だなあと思ったが
「大丈夫よ。私たちが住んでいるマンションのエレベーターが故障して階段で上るよりはましよ」
と由紀を勇気づけようと言った。
由紀たちの住んでいる超高層マンションは八十階建で、その七十六階に住んでいる。
部屋のフロアーの高さは、地上から二百五十メートルくらいはあり、非常階段の数は聞いたことが無いので正確な数ではないが、おそらく地上から部屋まで戻るのに千段以上はあるのではなかろうか。
もし外から帰ってエレベーターが故障していたら、「部屋までは到底、帰れないね」と常日頃、二人で話していた。
確かに一気に千段の階段上りは、きつそうで、目の前にすると諦めるかも知れない。上れば、また下りてこないといけないし、そう考えると諦めも出てくるであろう。
しかし本当は、明日、登る予定の十二番への遍路道の方が遥かにきびしく苦しいのである。
立ち止まり見ている所から、先が見えないので分からないのであろうが、山の中を上がったり、下がったりしながら、海抜八百メートルまで登ってゆく。
二人には、そのような体験が無いので想像ができないのである。
そうこうしているうちに雨が本格的に降り出してきたので、二人は慌ててレインコートを出して被り、予約しておいた宿に向かった。
「理絵、明日、この道、お母さんに上れるかなぁ」
理絵も、かなり、きつそうな道だなあと思ったが
「大丈夫よ。私たちが住んでいるマンションのエレベーターが故障して階段で上るよりはましよ」
と由紀を勇気づけようと言った。
由紀たちの住んでいる超高層マンションは八十階建で、その七十六階に住んでいる。
部屋のフロアーの高さは、地上から二百五十メートルくらいはあり、非常階段の数は聞いたことが無いので正確な数ではないが、おそらく地上から部屋まで戻るのに千段以上はあるのではなかろうか。
もし外から帰ってエレベーターが故障していたら、「部屋までは到底、帰れないね」と常日頃、二人で話していた。
確かに一気に千段の階段上りは、きつそうで、目の前にすると諦めるかも知れない。上れば、また下りてこないといけないし、そう考えると諦めも出てくるであろう。
しかし本当は、明日、登る予定の十二番への遍路道の方が遥かにきびしく苦しいのである。
立ち止まり見ている所から、先が見えないので分からないのであろうが、山の中を上がったり、下がったりしながら、海抜八百メートルまで登ってゆく。
二人には、そのような体験が無いので想像ができないのである。
そうこうしているうちに雨が本格的に降り出してきたので、二人は慌ててレインコートを出して被り、予約しておいた宿に向かった。