「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
今までの消息不明調査船と同様の事が起こったのではないか。

全員に緊張が走り表情が強張った。

その後も呼び出しを続けてはいるが、もう望みは無いであろう。

李は一部始終を見ていて思った。

これでは、今後、小惑星群が進むにつれ、観測を予定している貨物船や調査船も危険ではないのか。

小惑星群に近づいて観測させるよりも、遠ざけて退避させるべきではないか。

李は立ち上がり、補佐官を呼び、主要な科学者と補佐官を別室の会議室に集合させるように言った。

会議室にメンバーが揃い、今後の観測を依頼している貨物船や調査船を、どうするのか検討を始めた。

基本的には、やはり、あまりにも危険であるという意見が大勢を占め、観測を中止させ退避させるべきであると結論づけられた。

だが一部の科学者が地球や月面やステーションの観測機器からの観測では、軌道などは、ある程度、判明するとしても、小惑星群自体の詳細なデーターが得られないとして、何か方法を考えないといけないと主張した。

しかし、いくら考えても、別の方法で小惑星群を間近で詳しく観測する方法は思いつかない。

科学者にすれば、せめて、どのくらいの大きさや形をしていて、何個存在するのかだけでも判明しないと、実際に処理する段階になると困る事になると言うが、方法が無い。

地球に、かなり近づいてくると、天文衛星を使用することで、それなりの事は解析可能であろうが、一方向からの観測である上に、かなり近づいてからでは遅すぎる。
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