「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
名案も出ず、時間だけが過ぎてゆく・・・

日付が替わり午前零時半を過ぎた頃、補佐官が調査船はスピードが出るので、とりあえず、そのまま待機させて、残りの観測を依頼していた貨物船は、全艦退避させてはどうかと提案し、了承された。

ただちに貨物船には、観測指示の取り消しと退避命令が発せられ、調査船には現在位置で待機するように指令が出された。

検討会議は、もう一度、明日の午後一時より開くこととして、それまでに何らかの観測方法が考案できれば報告してもらうことにした。




ぬかるんだ山道を、由紀と理絵が悪戦苦闘しながら進んでゆく。

「もうすぐ、もうすぐだから、がんばってお母さん」

「もうすぐ次の休息所に着く筈だからね。そこでお昼ごはんにしよう」

「がんばって、お母さん」

理絵の掛け声に励まされながら、どうにか由紀は歩いている。

天気の変わるのが天気予報よりも早くて、もっと降るのかと心配された雨は、出発して一時間も経った頃には止んだのだが、道が雨のせいで、どろどろになっている。

おまけに細い山道が、雨水で川のようになって水が流れている所まであり難行苦行の連続である。ただでさえ険しく苦しい山道なのに、雨が降ったせいで、より苦しみの多い行程となっている。

由紀は必死の形相で、理絵についてゆくのだが、すぐに離されそうになる。

離されそうになると理絵が由紀を待ちながら励ます・・・
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