「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
人間、現金なもので、お腹が、いっぱいになると元気も出てくるらしい。
「さあ、行こうか理絵」
なんと、由紀が理絵より先に立ち上がって言った。
二人は十二番を目指して、また歩き出した。
歩き出すと由紀が、すぐにまた顎を出して、ふうふう言いながら
「さすがだわ・・・ほんとに、さすがだわ」
と言いながら歩いているので理絵が
「何が、さすがなの」と訊いた。
「金剛杖よ。金剛杖はさすがよ。私の全体重を支えてくれているもの」
「お大師様のおかげです」・・・
と言いつつ歩く由紀を理絵が見ていると、本当に由紀は杖を頼りに三本足で歩いているように見え、なるほどと感心した。
次の休息所に着き、そこでも三十分近く休んだ後、ぬかるんだ下り坂を二人とも何度か滑ったり、転んだりしながらも、最後の上り坂に差し掛かった。
時刻は、午後五時になろうとしている。
「もうそこ、そこまでだからね・・・がんばって」
理絵の掛け声に励まされながら由紀が、はあはあ、ふうふう、と大息をつきながらもついてゆく。
やっとの思いで十二番焼山寺に着いたとたんに、由紀は、しゃがみ込んでしまった。
「さあ、行こうか理絵」
なんと、由紀が理絵より先に立ち上がって言った。
二人は十二番を目指して、また歩き出した。
歩き出すと由紀が、すぐにまた顎を出して、ふうふう言いながら
「さすがだわ・・・ほんとに、さすがだわ」
と言いながら歩いているので理絵が
「何が、さすがなの」と訊いた。
「金剛杖よ。金剛杖はさすがよ。私の全体重を支えてくれているもの」
「お大師様のおかげです」・・・
と言いつつ歩く由紀を理絵が見ていると、本当に由紀は杖を頼りに三本足で歩いているように見え、なるほどと感心した。
次の休息所に着き、そこでも三十分近く休んだ後、ぬかるんだ下り坂を二人とも何度か滑ったり、転んだりしながらも、最後の上り坂に差し掛かった。
時刻は、午後五時になろうとしている。
「もうそこ、そこまでだからね・・・がんばって」
理絵の掛け声に励まされながら由紀が、はあはあ、ふうふう、と大息をつきながらもついてゆく。
やっとの思いで十二番焼山寺に着いたとたんに、由紀は、しゃがみ込んでしまった。