屋上の話
春。

ぽかぽかした陽気の中、雲が少ない晴天の日。


(こんな日は屋上行ってみたくなるなぁ…。
中学のときはよく行ってたし、ここの屋上見てみたい)


この時も好奇心とかだけで、特に理由はないんだけど。

休み時間に友達を置いて屋上に上がった。

そして見てしまった。

大きな猫を。

いやいや、人を。

休み時間のチャイムと同時に出たのに、すでに男の子が寝転がっていた。


(あたしが一番だと思ったのに…。誰だろう?)


何となく誰だか予想はついた。

サボリ魔の神田君。

同じクラスで朝は教室にいるのに、授業が始まる前には居なくなってる人。

話す機会もないので、特に気にすることもなかった。

……でも、今は寝てる。

そっと近づくと寝息が聞こえた。

やっぱり神田君だった。

丸くなって寝ているので、なおさら猫みたいでかわいい。


「……誰」

「え!?わっ」


寝ていると思ったら急に声がかけられてびっくりする。

思わず尻餅を付いてしまった。

少し目を開けて私を見る。というより下から睨みつけられてる感じ。


「……バカだな」

「ひどっ」
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop