佳き日に
雪はそんな閏の気持ちなど知らずキョトンとした顔をしていた。
「別に、どっちでもいい。」
「・・・え?」
「生きられるんだったら生きてほしいが、死んだとしてもたいして困らないだろうな。」
「はぁ。」
「例えるなら、しゃもじみたいな。」
「ご飯をよそうやつですか?」
「そうだ。別にしゃもじがなくてもスプーンでもご飯はよそえるだろ。」
いつも通りフリーダムな雪の言葉に閏は「そうですね」しか言えなかった。
だが、雪が琥珀をどのように思っているのかは大体分かった。
雪は、琥珀を物のようにしか考えていない。
「雪先輩、琥珀さんは人間ですよ。」
閏の言葉に、雪は「そうだな」と苦い顔で呟いただけだった。