佳き日に



[2]


カッ、カッ、とヒールの高い赤い靴の音が一定に響く。

鉛丹と桔梗は息を潜めて柳琥珀の後をつけた。

「なぁ桔梗。」

「何ですか?」

「俺、やっぱりあいつは赤い女じゃないと思う。」

「彼女はただの囮だと?」

「あぁ。筋肉が全然ついてないし。」

「・・・尾行、やめます?」

二人にしか聞こえないくらいの小声で鉛丹と桔梗は会話した。


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