佳き日に
琥珀は水を飲みながら鉛丹と桔梗の様子を観察した。
「一応言っておくけど、私に手は出さないほうがいいよ。ここに何人か警察、紛れ込ませてるから。」
琥珀がそう言えば鉛丹は憎らしげに舌打ちした。
あらかじめ雪から言えと命じられていたハッタリなのだが、効果はあったようだ。
「ここに僕たちを連れてきた理由は何ですか?」
「交渉しようと思って。」
「交渉?」
鉛丹と桔梗は同時に眉を寄せた。
やっぱりこの二人、顔はそこまで似てないけど雰囲気と仕草が似てるなぁ、と琥珀は思った。
「私に、手を出さないでほしい。私も、君たちには手を出さないから。」
そう言いながら琥珀は桔梗の2mほど後ろに、変装した雪がいることに気付いた。
「もちろん、雪も琴も閏も、君たちに手出しはしないよ。」
琥珀の言葉に桔梗は微妙な顔をした。
「理由はなんですか?」
「私が学校に行きたいから。」
「はぁ?」
鉛丹が理解出来ないような表情でこちらを見る。