佳き日に
「赤い女が20人くらい殺した頃からは、手柄を上げるために自ら赤い女を探し始めた人もいるらしいですからね。」
「ようやく赤い女がヤバイ奴だって実感したのは、雨さんが殺されてからか。」
「そうですね。雨さんが殺されてからは赤い女はぱったりと出て来なくなりましたけどね。」
「始めから雨さんだけを狙ってたのか?」
「分かりません。」
メモリーズで最強と謳われた雨という男が殺されたこと。
それは、メモリーズの業界に大きな衝撃を与えた。
そして、皆赤い女に関わろうとはしなくなった。
「まぁ、でも赤い女も今じゃ50近くの年齢だろ。そんなおばさんが赤いドレス着てるなんて想像するだけでゲロ吐きそうだな。」
「兄さん、社交ダンスしてる全国の50代の女性に謝った方がいいですよ。」
そんなことを話してる間に、もうすぐ郡山に着くというアナウンスが響き渡る。
鉛丹と桔梗は荷物をまとめ始めた。
「とりあえず、戦うったって、赤い女はもう年だから動きも鈍ってるだろ。俺たちが負けるはずがねぇ。」
自信満々に鉛丹がそう言えば、桔梗は笑って頷いた。
もしも、ここに赤い女がいたとしても、危険はないだろう。
逆に、赤い女が姿を現す可能性は限りなく0に近い。
二人はそう思い、新幹線を降りた。