佳き日に
人が少ないな。
鉛丹と桔梗が駅に降り立ち、1番始めに思ったことはそれだった。
今まで大都市周辺にしか住んだことがなかったので、そう感じるのかもしれない。
ただ、この人の少なさは落ち着かないな、と鉛丹は思った。
「兄さん。」
「なんだ?」
「あそこ、行きたいです。」
そう言って桔梗が指す先には有名なハンバーガー店があった。
鉛丹が時計を見たら、ちょうど3時過ぎくらいだった。
小腹がすいたのだろう。
鉛丹もあっさり了解する。
「あれ食おうぜ、ビッグなんとか。」
「嫌ですよ、あんな大きいの。」
桔梗はそう言ってドンドン先へ進んでいく。
この駅、広いなぁ。
のんびりと桔梗の後を歩きながら、鉛丹はそう思った。