佳き日に




[5]



くつくつと湯気を出す鍋の中ではとろりとしたクリームシチューが煮込まれていた。

当初のスープみたいなカレーと比べればかなりの進歩だ。

閏はそれを覗き込みながら思った。
やれば、出来るものですね。

「うっわ閏すごい‼美味しそう!!」

いつの間にかひょっこりと横から鍋を覗き込んでいた琥珀がそう言う。

「琥珀さん、お皿用意お願いします。」

「うん。」

普段学校にいる琥珀に、ずっと雨の日記を読み続けている琴。
そして秘密警察と連絡を取り合っている雪。

それぞれにやることがあり、閏は家事担当になっている。
炊事、洗濯、掃除。

洗濯、掃除は一人で生活していたときもやっていたので大丈夫だが、炊事は初心者なので大変だった。

おまけに教えてくれる人もいないので料理本を買ったりネットで調べたり試行錯誤。

一生懸命作っても美味しいのかどうか分からないのは悲しかったが、琥珀や琴の感想が聞けるのでまぁいいかと思えた。

雪は何を食べても「普通に美味しいぞ。」しか言わない。
その「普通」って言葉をどう捉えればいいのか。



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