佳き日に
「琴が嫌なら雪先輩はダメですか?」
「雪教えるの下手そうじゃん。」
「……。」
言い返せない。
琥珀の言葉に納得してしまった。
どうすれば琥珀をその気に出来るのか閏が悩んでいたら、琥珀の方から話してきた。
「護身術もやらなきゃダメなの?」
「いや、今のトレーニングのままでもいいんですけど。」
閏は一瞬間を開ける。
何て言えばいいんだろう。
そのトレーニングは、琥珀の命を守るために作られたものではない。
琥珀がいつ死んでもいいと思っている雪が作ったトレーニングで。
持っている物を、もっと便利にするための改良みたいなもので。
壊れないように補強するのとは違う。