佳き日に
「わーぉ。」
茜の隣で一緒にメモを読んでいたサングラスの男はそう呟くと、ガバッと一瞬で茜を羽交い締めした。
「わっ、何するんですか‼」
茜は必死に動いて逃げようとしたが、男の力が強くて抜けられない。
「ちょーっと署まで同行願おうか。」
その言葉とともに乱暴に車に押し込まれる。
投げ入れられたようなものなので、ガンッと頭がぶつかり茜は呻いた。
「茜ちゃん‼」
おばあちゃんの叫び声も虚しく車は急発進。
ガチャ、と音がしてそちらの方を向けば、銃口が突きつけられていた。
生まれて初めて見る本物の銃に、茜の体は固まる。