佳き日に
閏は読んでいた雨の日記をパタンと閉じて話題にあがっている二人の殺し屋について考える。
灰神楽と萩。
二十代後半の女と五歳くらいの女の子の奇妙なコンビだとは聞いたことがある。
実力もそこそこあって、そして、コミュニケーションをとるのがすごくめんどくさい、とも。
見たこともましてや話したこともない閏には想像しか出来ない。
めんどくさいって、どういうことなのだろう。
言葉が話せないのか?
そんなことを考えていたら、雪が電話を終えた。
「琴が今御学高校に迎えに行った。」
「一応、琥珀さんにも連絡いれておきませんか?彼女には僕の携帯持たせておいたので。」
「そうだな。」
だが、電話をかけても琥珀は出なかった。
時計を見ればもう授業は終わっている。
嫌な空気が閏と雪の間に流れる。
さらに追い打ちをかけるように、雪の携帯がなった。
「……琴からだ。」
閏は雪の近くにいき、琴からの電話に耳をすませる。