佳き日に




「この組織の、概要は分かっているな?」

「……はい。」

「この部隊の存在が公表されることはない。つまり、お前がこの部隊で見たり聞いたりしたことを他人に話せば即刻消えてもらう。」

男の威圧的な言葉に茜は少し身じろぐ。

秘密警察。
存在しないことになっているメモリーズを殺す部隊。

分かってはいたが、情報漏洩にはとても厳しいようだ。

「個人が特定されないよう、本名は使わず常にコードネームで隊員の名前を呼ぶこと。できるだけ顔を隠す格好をすること。分かったな?」

茜が大きなリスクを覚悟の上で秘密警察に入った理由は一つ。

雨というメモリーズを探すため。
高校も、大学も、警察学校でも、それを目標に日々を過ごしてきた。

家族の死の、真相を知るため。
盗まれた自分の記憶を、取り戻すため。


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