佳き日に

本日ハ晴天ナリ





[7]





「手段を選ぶな。」

丸々一日秘密警察に入り浸り、ようやく家に帰ってきた雪は開口一番そう口にした。
夕食の準備をしていた琴も閏も琥珀もはたと動きが止まる。

雪の話は主語が抜けていることが多く分かりづらいな、と琴は思った。

「って、警察の連中が言ってたぞ。」

「えっと、雪先輩、それは何の話ですか?」

「まぁ、詰まる所これからは一般人を巻き込むことにも目をつむってやるからどんどんメモリーズを殺せってことだろうな。」

視界の隅で琥珀が手を止めたまま目を丸くして雪を見つめているのが見えた。

バチバチとフライパンの上で緑色の物体が音を出している。
ピーマンの肉詰めチーズのせ。
琥珀の好物らしく、「焼けたのをひっくり返すだけなら出来るよ!」と閏に自慢気に言っていた。

手伝うといいたかったのだろうが、琥珀は自分の調理技術が壊滅的なのを自負しているから遠回しにそう言ったのだろう。

「琥珀、それ焦げそうだし。」

「えっ、わっ。」

琴が声をかければ慌ててひっくり返し始める。

「まぁ詳しいことは飯食べながら話す。」

雪はそれだけ言うとガタンと椅子を引き座る。



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