佳き日に
琴は急いで人数分の皿とフォークを机の上に並べる。
多少荒い置き方だったが閏に怒られなかったので良しとしよう。
ジュージューという音、香ばしい匂い、琥珀が少し焦げかけたピーマンの肉詰めチーズのせを皿に盛り分けたところで準備が整った。
それぞれがどこかソワソワした様子で腰掛ける。
「メモリーズを殺すのが、今までは秘密警察の仕事だったが、これからは政府のお偉いさん方がやるらしい。」
そういいながら雪はコーンスープをすする。
それ以外の三人は食事には手をつけず固まっていた。
琥珀に関しては秘密警察という単語が出た時点で不思議そうな顔をした。
「それは、もう僕らは必要ないってことですか?」
「そうじゃない。」
おずおずと聞いた閏に雪はきっぱりと言い切った。
「政府は作戦を考えて、実行するのは俺ら秘密警察に属している者たちだ。」
「何だし、それ。汚れ仕事はやりたくないってことか?」
「まぁそうだな。」
空気が少し尖る。
琴の視界の端では、琥珀がおろおろしていた。
「まぁ、俺らは相当使える奴らだって思われてるみたいだからターゲットだけ指定で、あとは好きにやっていいらしいぞ。」
「誰ですか、ターゲット。」
「鉛丹と桔梗と菘。」
「一人増えましたね。」
そーいや最初は鉛丹と桔梗だけで依頼されてたな、と琴は思った。