佳き日に
[4:25years ago]
とても強い力で壁に手を押さえつけられる。
持っていた銃は奪われ、なす術なく茜は目の前の新たに出てきた男を見つめる。
蘭々と輝く茶色い目。
メモリーズだ。
「あんたがさっき殺した男の名前、分かる?」
「知るか。」
顔を近づけてきた男の酒臭い息に茜は顔を顰める。
男の顔には大きな引っ掻き傷のようなものが頬に走っていた。
「あんたがさっき殺した男の名前は、海だ。俺の仕事の尻拭いをよくやってくれたんだ。」
海。
まさかここで茜が好きな海という名前のメモリーズを殺したとは。
目の前の酒臭い男の目には憎悪が滲んでいた。
「海、いい名前だね。」
「死ね。」
自分から話振っといてその終わらせ方はないでしょ。
茜がその不満を口にする前に首を掴まれ別の部屋に押し込まれた。
暗く、狭い。
さっきまでこの男はこの部屋に隠れていたのだろうか。