佳き日に





[4:25years ago]




行きは三人で、帰りは二人。
嫌味な男だったけど死んでもあまり嬉しく思えなかった。
心は晴れるばかりかモヤモヤを増すばかりだ。

茜は喉に何か詰まっている気がして唾を飲む。

行きと同じ車に乗り、軽い振動。

二人の間に会話はなかった。


先に沈黙を破ったのは、上司のほうだった。


「せんべい、だ。」

「はい?」

「俺のコードネーム。」

「はい、あ、そうですか。」

なんとも緊張感のないコードネームだと思った。
確かに出かける前に上司はせんべいを食べていた気がする。
サングラスとせんべいというなんとも奇妙な組み合わせだったから印象に残っている。

好物なのだろう。
だけどそれをコードネームにするとは、センスないなぁ、と茜は思う。



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