佳き日に





三回目の勉強会。

菘からの情報によれば雪と閏と琴は鉛丹と桔梗を一番に殺すつもりらしい。
柳琥珀は未知数。

強いのか弱いのかよく分からない。

でも桔梗は、柳琥珀は人を殺したこともないただの一般人だと思っている。

シャーペンで琥珀から譲り受けた教科書に何か書き込むフリをし、桔梗は琥珀を見る。

楽しそうに笑うその顔は嘘をつける人間とは思えない。

鉛丹が理科の問題を読む声が聞こえる。


「たかしくんはおんさを持って600m先の壁に向かって歩いていました。歩き始めてx秒後にたかしくんがおんさを叩くと、その1.5秒後に壁の近くにいる人におんさの音が聞こえました。音は秒速340m、たかしくんの歩く速さは秒速1mとし、xをもとめなさい。」

読み終えると鉛丹は一息ついた。


「おんさを叩きながら迫りくるたかしくんは何がしたいんだろうな。」

「たかしくんに聞いてください。」

今回の勉強会は情報収集も兼ねているということを鉛丹は分かっているのだろうか。


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