佳き日に

夏の暮れに下駄の音






[4:21years ago]






秘密警察に入ってから四年経った。

赤い女として茜の名前も広まってきたのでこちらが探さなくてもメモリーズがどんどんやってくるようになった。

仕事がたくさんこなせるのは嬉しいが体力的にはキツい部分もある。


「生ビールひとつ。」

「はいよー。」

私服に着替えた茜はザワザワとにぎやかな居酒屋のテーブルに座っていた。

人目を引く赤いドレスを脱いだらメモリーズは誰も茜に襲ってこない。
こんな風に居酒屋で酔っ払っているときに襲ってきた方がメモリーズにも勝算はあると思うのだが。


「待たせたな。」

そう言って茜がいるテーブルの席に座ってきたのはせんべいだった。
今日茜はせんべいに呼び出されていたのだ。




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