佳き日に





[3]




とある紅茶会社がお菓子会社とコラボして作ったという飴。

普通の紅茶味と、レモンティーの味と、ミルクティーの味。
菘は濃厚そうな肌色のミルクティーの飴を口に含む。
そんなに期待はしていなかったが、紅茶の味と匂いが口の中に広がりとても美味しかった。


「あんたたちも食べる?」

菘はそう言って鉛丹と桔梗にも飴を差し出したが、首を振られ断られた。

赤い女の後継人である柳琥珀との勉強会から帰ってきてから、二人の様子はどこかおかしい。

桔梗はなんだか白い顔をして、鉛丹は深刻そうな顔をしたままだ。

こんな様子で何か情報を得ることができたのだろうか。
菘はガリッと飴を噛んだ。


「で、なんかあいつらについて分かったことはあったの?」

ミルクの香りが口の中に広がる。

鉛丹も桔梗も菘の言葉を聞いていないのか何の反応もない。


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