佳き日に




そこではたと菘の頭にある疑問が浮かんだ。


「ねぇ、桔梗。」

名前を呼べば桔梗は白い顔をこちらに向けた。


「柳琥珀が一般人ならさ、なんで雪と閏と琴は一緒にいるの?」

そもそもの始まりは雪の発言だったはずだ。

自分たちは赤い女の囮。
赤い女が、二十一年ぶりにメモリーズを殺そうとしている、と。

あれはただの雪のハッタリで、雪たちが警察に加担していることを隠すためのだったのだろう。

だけど、今ではもう状況が違う。

雪たちが言ったわけではないが、調べれば彼らが警察に加担していたという話はメモリーズの間ではガセネタではないということになっている。

決定的だったのは、秘密警察から政府にメモリーズ討伐の指揮権が移行されたとき、真っ先に殺す対象として鉛丹と桔梗と菘と椿、灰神楽と萩が選ばれたことだ。

なぜ最も強い雪、鉛丹や桔梗や菘以上の実力を持つ琴と閏が選ばれなかったのか。

理由は明白だ。

彼らが、警察の仲間だから。




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