佳き日に
「ねぇ、白川あんたさ。」
「はい、何ですか?」
白川はエナカが背負っていたリュックを凝視していたが声をかければすぐ顔を上げた。
パンパンのリュックが気になっていたのだろう。
中には小さなスコップや軍手が入っている。
もしかしたら墓を掘り返すことになるかもしれないからだ。
罰当たりだがまぁ仕方がない。
ふいとエナカは顔を上げ白川の方を見る。
「あんたが私を好きっていうのは本当?」
「当たり前じゃないですか!」
やけに元気に答えてくる白川。
学生時代は運動部にでも所属していたのだろうか。
「じゃあさ、私があんたに政府の仕事やめろって言ったらやめてくれるわけ?」
「エナカさんが望むのならば。」
エナカは白けた目線を白川に向けた。
本気なのか冗談なのか。
どちらにせよ、何を考えているのかさっぱり分からないな、と思った。