佳き日に
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爪の間に土が入って変な感じがする。
ゴワゴワというか、何というか、不快だ。
墓石って重いんだな、と思ってから当たり前か、とエナカは微かに笑った。
そして、横に倒された墓石を見る。
側面には山森家と書かれている。
納骨棺というらしい、遺骨を入れる場所にはせんべいの残した手紙が入っていた。
エナカは泥がついた手で何枚か捲る。
汚いせんべいの字を流し読みした。
「エナカさん、飲み物買ってきたんでここ置いときますね。」
「うん、ありがとう。」
白川の方を見ずに短く応える。
せんべいの手紙から目を離さず、エナカは内容を理解しようと何度も繰り返し読んだ。
手紙には、政府の本当の計画が書かれていた。
そして、エナカが渡された小さなガラス瓶の正体も。