佳き日に
「よし、終わった。動いていいぞ。」
「ありがとう。」
菘は太った男に代金を渡し立ち上がる。
出口に向かおうとしたら呼び止められた。
「関東に行くのか?」
「うん。」
「気をつけろよ。最近秘密警察だか政府だかが派手にメモリーズを殺しているらしいぞ。こっちではまだだが、関東ではもう何人も殺されている。」
菘は一つ頷き闇医者を後にする。
左肩はジクジク痛む。
これから向かう先、関東は今メモリーズにとって危険地帯らしい。
それでも行かなければならない。
椿が残した墓に辿り着くまでは死ねないな、と菘は思った。