佳き日に






「死体の発見されない死人にのために仮に行う葬式なんだって、空葬って。」

「そんな言葉あるんですね。」

「うん。」


土の上に置かれた花を見る。

白い小さな花が炭酸水の気泡のように広がっている。

琴の空葬なのだろうか。
しゃがみこんだままの琥珀。

ポツリと、彼女が言葉を落とした。


「風葬っていうのも、あるんだって。」

「風葬、ですか?」


風で葬う。
風の強い日に骨をまくのだろうか。

想像すると、何故か節分の豆まきを思い出した。


「死体を山林とか平地で地中に埋めないで晒しておくことらしいんだけどね。」

「……それ、一歩間違えたら死体遺棄罪で逮捕されません?」


閏がそう言えば琥珀はケラケラと笑った。





< 591 / 627 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop