佳き日に
[2]
「本当の復讐っていうのは、生きて幸せになることだから。」
突然放たれた琥珀の言葉に桔梗の唇は震えた。
やめてくれ、とも助けて、とも思った。
傷つけられたから傷つける。
そんなやり方でいいはずがないなんてことは最初から分かっていた。
分かってはいたけど。
これからどこへ向かえばいいのか、桔梗には分からなかったのだ。
「好きなように生きなよ。幸せになって、それから、ざまーみろって笑ってやればいい。」
そう言って笑う琥珀。
ふいに目もとが熱くなって、桔梗は下唇を噛む。
「応援してるよ。」
揺れる視界。
一心に机上のコップに入った水を見た。
ボタリと、一粒そこに液体が落ちた。