〝愛してる〟と〝大好き〟
「姉ちゃん。」
「ん?」
急に話し始めたもんだから、
ちょっとビックリしたけど、
あんまり冷たくしたくなかったから、
いつも通りに返した。
「アタシね、姉ちゃんが羨ましくてしょうがなかったんだ...」
「え?」
「姉ちゃんはさ、いつみてもママやパパから愛されてるな、って感じで、姉妹の中でも奈那姉には失礼かもしれないけど、一番可愛いし、一番モテるし、一番性格良いし...。アタシが勝てることなんてなかったの。ずっと、ヤキモチ妬いてたの。」
「・・・」
「中学生になったと思えば、怜くんと付き合い始めて、アタシのことなんかほったらかしで、寂しくて。」
「そんな寂しい心もあったけど、物心ついたときには、晃くんのことが好きになってたの。でも、晃くんも怜くんも姉ちゃんが独り占めしててやっぱり美人とか性格とか良い人はいいなって。それから晃くんが交通事故に遭った。姉ちゃんが悲しんでるのを見て、ホントに大好きだったんだなって感心したの。」
「・・・」
「だけど、それを見つめる晃くんの顔はもっと悲しそうで。遊園地に行ったのを聞いて、あーあ。晃くんも姉ちゃんに盗られちゃった...」
「え...?」
「アタシの方が先に好きになってたのに、姉ちゃんはそれまでに好きな人もいて、彼氏もいたのに、なんで?って。姉ちゃんが家に帰ってきて、遊園地連れてってって言ったら、姉ちゃんは「晃に連れてってもらいな?」って言ったよね。それでなにかがプチンって切れたの。アタシの気持ちも知らないくせにって。絶対奪い返してやるって。」
「それで、晃に連れてけって頼んで、キスまでしたの?」
「うん。」