男子校のお姫様
「マッチポイント佳音」
慧の言葉に周りがざわめく。
いつの間にかあたし達の周りには同じクラスのメンバーが。
それにまぎれて一般の宿泊客もギャラリーとしてあたし達の白熱した戦いを見つめている。
「マジかよ・・・光ってテニスではこのクラスで1番の腕前だろ!?」
「そんな凄腕に勝ってるって佳音ちゃん何者?」
周りからは動揺したような声が響いてくる。
でも、あたしだって運動神経にはそこそこの自信があるしテニスは1番得意なスポーツだし。
修行のために小さいころから運動神経鍛えてきてたし、反射神経を良くするためにもテニスはもってこいだったからね。
「ごめんね光君。あたしに勝ちちょうだいね」
あたしはラリーを繰り返しながらそういうと、光君がいる場所から一番離れた場所を狙ってボールを打ち込んだ。
ボールは狙い通りに、コート左端ギリギリのところに入る。
「試合終了~。勝者佳音」
「イエ~イ!」
「残念・・・。勝ったら佳音ちゃんに1つお願い聞いてもらおうと思ったのにな」
光君はそう言って肩を落とす。
「楽しかったしお礼に1つだったらお願い聞くよ。ただし、あたしにできることでね」
あたしがそう言って微笑むと、光君の表情がぱぁっと明るくなった。
「じゃあ部屋帰ったらお願い聞いてね」
そういうと光君はあたしの腕を引いて歩き出した。