男子校のお姫様
翌日。
帰りのバスの中、あたしは皆にお願いをしている。
それは、会長と副会長には近づかないでということ。
「あの2人はあたし達の正体を知ってた・・・。それに・・・あの男の側近みたいな感じだった・・・」
「まぁ危険人物ってことだよ。とにかく近づかないこと。俺達だって、身体は1つしかないから。守り切れるかも分からない状態なんだ・・・」
慧はすぐさま話を理解したらしく、皆にそう言い聞かせている。
皆は困惑した表情のまま、承諾してくれた。
それを合図に、その話は終わりを告げる。
「まぁ、この話は終わり。お前等はテストのことだけ考えてればいい」
慧は一気に皆をどん底に突き落とす発言をする。
当然、皆(主にヒロと裕篤)は頭を抱えこむ。
「慧・・・あんま皆をいじめない方が・・・」
確かに、慧はテスト毎回2位だけど・・・。
「佳音はこいつらと違って凄いよね。佳音が来るまでは俺が1番だったのに、今では佳音が1位だもんね。やっぱり佳音はすごい」
にやにやしながら皆を横目にそういう慧は絶対ドS!
なんか最近、慧がだんだんサディストになってきてるような気がするんだよね・・・。
「慧・・・?」
「ん?」
「いやなんでもない」
だけど、あたしが声をかけると、必ず甘えん坊のかわいい慧に戻る。
もしかして2重人格!?
あたしはそんな発見をしながらも、何も気づいていないふりをしつづけることにした。