男子校のお姫様
「明日は佳音に勉強見てもらおう。テストまで残り3日。頑張るぞ!」
勝手に決められてしまった予定にあたしはため息を吐く。
「あたしに用事があったらどうしてくれるんだか・・・」
そんなあたしのかすかな呟きは誰にも聞こえないまま空気に溶け込んでいった。
自分の部屋に帰ってくると、パソコンを開く。
お祖父ちゃんと春希さんにメールをするため。
「えっと・・・お祖父ちゃんにはこれでいいかな?」
“最近よくあらわれる妖怪の手下はうちの学園の生徒だったみたい。警戒を解かないよう、見周りにも力はいれるね。”
そう打ち込むと、お祖父ちゃんに送信する。
「さてと。お次は春希さん。・・・こんな感じ?」
“会長と副会長が、例の妖怪の手下だったみたい。あたし達も最善をつくすけど。春希さんも十分に気をつけて。”
送信した後は、ちょっと学園のデータハッキングさせていただきます。
あ、良いこの皆はマネしちゃだめだよ。
そう言っている間にも、ハッキングは完了。
あたしがハッキングしたのは、会長と副会長についてのデータ。
「へぇ・・・。2人とも転校生なんだ・・・。しかも同じ日に・・・」
こんなの偶然なはずない。
それは分かってるんだけど・・・この人たちの肝心なデータは閲覧できないみたい。
「ロックなんてかけたら余計怪しいでしょ」
あたしはそう呟きながらも、ロックを解除していく。
だけど、厳重すぎて・・・だんだん腹が立ってきた。
それでもあたしはロック解除に身を徹した。