男子校のお姫様
足を滑らせて落ちた穴を抜けると、不思議な世界がそこにはあった。
楽しみつつ演じていくとさっきと同じようにいつの間にかもう終盤。
「アリス。これからも僕と、この世界にいてくれないか?」
「・・・私もできることならそうしたいわ。でも・・・」
戸惑った様子のアリスに、うさぎさんが声をかける。
「アリス。君はハッターと離れて寂しく生きていくのかい?」
「でも・・・あたしが帰らないと皆が心配するわ」
「そうかもしれない。でも、君はこれから先自分の気持ちを偽り続けていきていくことになるんだよ。皆のため・・・その言葉がどれだけ自分を苦しめるか考えてみて」
その言葉にはっとした表情を浮かべるアリスにうさぎさんは微笑む。
「君は君がしたいようにすればいい。最終的にそれを決めるのは君だ」
「私・・・私、ここに残りたい」
「そうかい。それで君は後悔しないんだね?」
あたしは迷いのない表情で頷く。
「アリス。これからはずっと一緒だ」
「うん!」
アリスはマッドハッターと微笑みあう。
そこでカーテンは閉まった。
「佳音ちゃんさすが!午後の公演ではアドリブいれてみようか」
「アドリブ?」
悪戯な表情の光君はそういうと、意味深に微笑んだ。
なんだか午後の公演は大変なことになりそうな気がします・・・。