男子校のお姫様
嫌な予感がするときほど時間は早く進むように感じてしまいます・・・。
あっというまに2度目の演劇部の公演も終え、今はオリジナルアリスの終盤。
今のところは何もないんだけど・・・アドリブって何するんだろう?
「アリス。これからはずっと一緒だよ。どんなときでも僕は君の側に居続ける」
え・・・こんなセリフないよね!?
アドリブって・・・このこと!?なんとか合わさないと!
「うん・・・。私もあなたと離れないわ・・・」
・・・合わせてはみたものの・・・何処の乙ゲーだよって感じになっちゃってるよ!
「アリス。大好きだよ」
「私も・・・」
光君に向かって微笑むと、同じく微笑んでいた光君の顔が近づいて来て・・・気づいたら唇同士が重なり合っていた。
驚きで目を見開くあたしを余所に光君はあたしを抱きしめる。
観客の声援とともに閉じていくカーテン。
その間もあたしは固まり続ける・・・。
そこで見つけた2人にあたしは寒気がした。
「おい光ぅぅぅぅ!貴様ぁぁぁ!」
「何?」
「お前っ・・・佳音ちゃんの唇奪いやがって!」
そう言って光君に詰め寄るクラスの皆。
そんなのを余所にあたしは込み上げてくる不安を必死で抑えていた。