男子校のお姫様

するとあの男がステージに現れた。

「何が起こってるんだ?」

困惑した生徒を横目に彼は話しだす。

「瀬戸佳音。俺の許へ来い。さもなくば・・・わかるな?」

「・・・あたしに選択肢なんてないじゃない・・・。行くしかないんでしょう?」

「ふふっ。よくわかっているようだな」

そう言って腕を伸ばす彼。

止めようとする皆(いつの間にか春希さんも来てたんだな・・・)の横をごめんねとだけ呟いてすり抜ける。

すると後ろから光君の声がした。

「・・・必ず帰ってきてね」

あたしは心の中で頷くと彼にゆっくりと近づいていく。

彼の前に立ったあたしは伸ばした腕なんか無視をしてやった。

でも彼はそんなこと気にせずあたしの腕を引き寄せる。

「ちょ、離して!」

必死で抵抗するあたしの声にかぶせるように、周りからも批判の声が上がった。

「おい!何処のどいつだか知らないが、佳音ちゃんから離れろ!」

「佳音ちゃんを汚されてたまるか!」

その声に反応するように副会長が話し出す。

「・・・お前等ガラス片の餌食になりたいのか?」

その言葉で押し黙った皆にあたしは微笑んで見せる。

それからあたし達は彼の作った穴から彼の屋敷へと移動した。

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