男子校のお姫様

――――――――――――――――――

寒い・・・。

目を覚ますとそこは真っ暗な世界。

遠くの方に明るい道が2本あるだけで、一面真っ暗。

何処?

もしかしてこれが死後の世界?

あたし、死んだのかな?

なんて考えているとたくさんの人の悲痛な声が聞こえて来た。

『佳音・・・』

『起きてくれ・・・』

『なんで起きないんだよ!』

誰の声なのかは全く分からないけれど、なんだか温かい人たち・・・。

『・・・光、俺等ちょっと・・・』

光・・・?

聞いたことあるような・・・温かい名前・・・。

『うん。僕がついてるから安心して。皆また明日』

一瞬周りが静かになったかと思うと、再び声が聞こえる。

『佳音ちゃん・・・起きてよ・・・』

「ねぇ、あなたは誰なの?」

その問いの返事はもちろんない。

あたしは何度も叫び続けた。

< 255 / 259 >

この作品をシェア

pagetop