イジワル社長と秘密の結婚
「二人が署名捺印して、これを出せば二人の結婚は成立だ」
「か、書くんですか……?」
と、呟いた瞬間、私は社長と目が合った。
さすがに、仕事ではやり手の社長でも、会長の前に何も出来ないでいる。
「蒼真、お前に今恋人はいなかったよな?」
「あ、ああ…」
社長は返事をしているけど、なんとか反論できる要素はないか、考えているようにも見える。
「咲希さんは?」
「私にも、いませんが……」
おずおず答えると、会長は目を細めて満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、なんの問題もないな。はい、署名と捺印」
半ば強要をされ、私と社長はそこへ署名と捺印をしたのだった…。
でも、婚姻届けは出さなければいいんだ。社長だって乗り気じゃないんだし、これを受け取って、あとで破り捨ててしまおう。
手を伸ばし、婚姻届けを取ろうとしたとき、間一髪、会長がそれを手に取った。
「この婚姻届は、私から出しておくから、今日から二人は夫婦だな」
「ちょっと待てって親父。それは、俺が出すよ」
社長も同じことを思っていたのか、焦り気味に婚姻届けを取ろうとする。でも、会長はさっと折りたたむと、胸ポケットへいれた。
そして、私たちを見比べながら、笑みを浮かべた。
「大丈夫、愛情なんてのは、あとからついてくるもんだ」
「か、書くんですか……?」
と、呟いた瞬間、私は社長と目が合った。
さすがに、仕事ではやり手の社長でも、会長の前に何も出来ないでいる。
「蒼真、お前に今恋人はいなかったよな?」
「あ、ああ…」
社長は返事をしているけど、なんとか反論できる要素はないか、考えているようにも見える。
「咲希さんは?」
「私にも、いませんが……」
おずおず答えると、会長は目を細めて満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、なんの問題もないな。はい、署名と捺印」
半ば強要をされ、私と社長はそこへ署名と捺印をしたのだった…。
でも、婚姻届けは出さなければいいんだ。社長だって乗り気じゃないんだし、これを受け取って、あとで破り捨ててしまおう。
手を伸ばし、婚姻届けを取ろうとしたとき、間一髪、会長がそれを手に取った。
「この婚姻届は、私から出しておくから、今日から二人は夫婦だな」
「ちょっと待てって親父。それは、俺が出すよ」
社長も同じことを思っていたのか、焦り気味に婚姻届けを取ろうとする。でも、会長はさっと折りたたむと、胸ポケットへいれた。
そして、私たちを見比べながら、笑みを浮かべた。
「大丈夫、愛情なんてのは、あとからついてくるもんだ」