イジワル社長と秘密の結婚
皮張りの黒色のソファーが二脚、ガラステーブルを挟んで置かれている。

「今朝ね、蒼真くんからお願いされたのよ。まだ慣れないだろうから、伊原さんをよろしくって」

私たちをソファーに促しながら、真由さんは楽しそうにそう言った。


「そうなんですか?」

蒼真さんがそう言ってくれていたなんて、嬉しいけど少し照れくさい。でも事情を知らない課長は、感心したように言った。


「良かったな伊原。社長も、気にかけてくれていたんだな」

「はい」

資料の中身を真由さんに話したら、課長は別アポに行くことになっている。真由さんと二人になるのは、気まずい……。




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