イジワル社長と秘密の結婚
すると、真由さんはうんうんと、頷いた。

「タイプよ。でもね、迫田課長はいつも、伊原さんの話しかしないの」


「私のですか?」

「ええ。社内に、とても頑張り屋な女子社員がいるって。迫田課長は、伊原さんが好きなのかな?」


「えっ⁉︎ まさか、そんなことはないです」

慌てて否定したけれど、私は内心ドキドキしていた。真由さんも鋭いけど、課長がそこまで話していたことに驚いた。

「だけど、寂しくなるわね。春にはアメリカなんでしょ?」

「はい……」

まだ内示なのに真由さんに話していたなんて、課長は本当に親しくしていた人なんだ。

「今度は、いつ帰ってくるか分からないみたいね」

「はい。そうみたいです」

だから私も、真由さんとは担当としてうまくやっていかなくちゃ。そう思っていたとき、

「そうそう、蒼真くんもアメリカに行くのよね?」

と言われ、ア然とした。

< 119 / 156 >

この作品をシェア

pagetop